小児喘息の治療には、ネブライザーを用いた吸入治療が一般的です。パルミコートなどの長期管理薬を使って家庭で治療を続けている方も多いですね。そこで問題になるのが「赤ちゃんや子供が吸入を嫌がる!」点。泣き叫んだり激しく暴れたり逃げ回ったりして、まとに吸入できない日も多いです。
今回は、3年以上吸入を続けていたふかふか一家の吸入ノウハウを余す所なく紹介!雰囲気づくりや、遊びを取り入れた方法、何で吸入するのかを教える方法など、嫌がる子供の吸入をスムーズに進める対処法をお伝えします!0歳〜5歳くらいまで対応です。
小児喘息の吸入治療って、大変!!
うちのおとめさんは2歳で小児喘息と診断。程なくして、ネブライザーによる吸入治療がスタートしました。発症1年4ヶ月頃の状況は、中等症持続型で治療ステップは最大の4。重症一歩手前ですが、毎日発作予防の吸入をしているお陰で、発作なしの状態を7ヶ月継続出来ていました。
その後も医師の指導に従い、毎日2回(朝晩)長期管理薬のパルミコートの吸入を続け、発作や咳がひどい時は、発作治療薬(メプチン+インタール)を用いた吸入治療も併用。地道な治療の結果、6歳になる直前にようやく吸入治療が終了し、喘息予防の飲み薬のみになりました。吸入治療は、3年10ヶ月続けましたよ。
大変だったのは吸入を嫌がる日がある事!365日全てご機嫌で吸入出来る訳なく、出来ない日は本当に泣き叫んだり激しく暴れたりで出来ません〜(泣 超大変です!!でも、何とかなだめながらやってました。
吸入が怖かったり辛かったりで嫌がるお子さんも多いですよね。そこで、今回は赤ちゃん〜5歳くらいの小さな子が吸入を嫌がる時の対処法をまとめて紹介します!
関連記事
小児喘息用ネブライザーの正しい吸入方法
ネブライザーを用いた吸入、皆さん正しく出来ていますか? 記事をまとめる前に正しい吸入方法を簡単にチェックしてみたいと思います。
まずはユーチューブ動画をシェア。独立行政法人 環境再生保全機構が作った、とても分かりやすい動画です。
小児用マスクを使った吸入
小児用マスクは、乳幼児が吸入するのに適した吸入方法です。マスクで口と鼻を覆って噴霧します。
- ネブライザーの薬液瓶に1回分の薬液をよく振って入れる。
- ネブライザーの電源を入れて正常な噴霧を確認。
- マスクを子供の顔に密着させる。(強く押し付けない。)
- リラックスして吸入を行う。
- 終わったら顔を拭く。
- うがいをする。(気管支拡張薬の時は不要。)
3に関しては、かかりつけの小児科で、顔から1〜2cm離しても問題ないと指導されてますよ。密着するのを嫌がる事が多いので助かりますね。ただ、密着した方が薬効が高まり治りもはやくなるので、出来るだけ密着する様に心がけましょう。
マウスピースを使った吸入
マウスピースは、幼児〜小中学生が吸入するのに適した方法です。マウスピースを口にくわえて、深い口呼吸で吸入します。うちのおとめさんの場合は、5歳半頃からマウスピースでもきちんと吸入出来る様になりました。
- ネブライザーの薬液瓶に1回分の薬液をよく振って入れる。
- ネブライザーの電源を入れて正常な噴霧を確認。
- マウスピースをくわえる。口の左右に隙間が出来ていないか確認。
- 口呼吸で薬液吸入。(たまに薄い紙を鼻の下に当てて、口呼吸を確認。)
- 吸入中、唾液が逆流しないように時々ティッシュ等に吐き出す
- 終わったらうがいをする。(気管支拡張薬の時は不要。)
吸入時間が10〜15分ほどと長いため、途中で鼻呼吸をしてしまう事がよくありました。口呼吸をしている時は、息を吐く時マウスピースから蒸気が噴き出すので見た目ですぐ分かります。鼻呼吸になったら、優しく「お口で息しようね。」って伝えてましたよ。
更に詳しい吸入方法は下記のサイトをご覧ください。それぞれ、行政と製薬会社が運営しているので信頼出来ます。
[参考文献]おしえて 先生! 子どものぜん息ハンドブック(独立行政法人 環境再生保全機構)
吸入を嫌がる時の対処法(遊び編)
ここまで正しい吸入方法を紹介しましたが、ほんっと、そんなに上手くいくかよっ!って感じで嫌がる事が多い薬液吸入。
でも、きちんと吸入出来ないと小児喘息が悪化してしまうのでどうしても吸入させたいですよね。
まずは、遊びを取り入れた方法を中心に紹介します。
楽しい雰囲気づくりが大切
吸入をする時は、リラックスして楽しい雰囲気作りを心がけましょう。赤ちゃんや子供がご機嫌の時間を狙って、ママが子供を膝に乗せたり赤ちゃんなら抱っこしながらの吸入がおすすめです。
ただ、現実は家事育児と喘息対応とお仕事に追われて、とてもイライラしがちなんですよね。ママさんの体調が悪かったりすると顕著に出てしまいます。赤ちゃんや子供はすごく敏感にそれを察知します。吸入を嫌がる日って、大体そんな日なんですよね。
そんな時は少し時間を作って、赤ちゃんや子供と楽しく遊ぶ時間を設けましょう。それから吸入すると素直に進む事が多いですよ。
また、吸入の事は「モクモク」と呼んで、「モクモクしよう」と誘うなど分かりやすい言い方を心がけましょう。
アニメや動画を見ながら
最有力な方法は、好きなアニメや動画を見ながらの吸入です。病院でもポータブルDVDでアニメを見ながら吸入してますよ。
効果がない時は、大抵映像の力が足りない時。赤ちゃんや子供が気に入る魅力的な作品に切り替えるのがとっても有効です。今はYouTubeや様々な動画配信サービスがあるので、大人も一緒に楽しむ事ができますね。
TVの場合は、毎日決まったアニメ番組に合わせて吸入するのも良いでしょう。
また、子供と一緒にツタヤに行って好きなDVDを選んで借りたり、図書館からアニメDVDを借りると、いつもと違うので集中して吸入出来ますよ。地元の図書館は、おしり探偵のDVDがあってたまに借りてます♪
見せ方は、配信サービスならスマホやタブレット、PC。DVDならDVDプレーヤーや液晶テレビなどを使うのが一般的ですね。
吸入が終わったらダラダラと見せない事も、赤ちゃんの発達には大切ですよ。
絵本を読み聞かせながら
絵本が好きな子なら、一緒に絵本を読み聞かせながらの吸入も楽しいですね。
おとめさん2歳の頃はじっとしてないので難しかったのですが、3歳後半頃から落ち着く様になりました!
あふろさんと二人だけだと手が足りなくて最初は私もお手伝い。私が絵本を持つ&めくる役。あふろさんは抱っこ&吸入&読む役です。
ママさんだけで対応する場合は、絵本読み聞かせスタンドがあると便利ですよ。
市販のスタンドは値段が高いので、ふかふか一家では100均の板&蝶番でスタンドを自作しました♪ これを使う様になってからは、あふろさんとおとめさんだけで吸入出来る様になりました!ページをめくる時は、抱っこ中の片手でネブライザーを支えて、もう片手でめくってますよ。
絵本は毎日同じものだと飽きてしまうので、図書館から10〜20冊ほど借りて毎月常備。色々な絵本でとっても楽しく、親子で絵本大好きになりました。図書館に一緒に行って子供が自分で好きな本を選ぶと、よりやる気になりますよ。ネット予約の時も、選んでもらうと良いですね。
絵本は治療と同時に、想像力も育む事が出来るのでとってもおすすめ!赤ちゃん用の絵本も多くあるので、0歳〜2歳の頃も試す価値あり。吸入治療が終わる6歳直前まで続き、その後も寝る前の読み聞かせで続けてます♪
写真を見ながら
外出先や病院でコンパクトなネブライザーを使った吸入をする時は、スマホに入ってる写真を活用しましょう。撮り貯めた写真を一緒に見ながら吸入すると、親子共に楽しめますよ。待合室や電車の中など、音が出せない環境で使えます♪
ネブライザーにシールを貼る
2歳くらいのお子さんでシールに興味がある時期なら、ネブライザーにシールを貼って遊ぶのも効果があります。本体に貼ったり、薬液瓶に貼ったりして遊ぶと、親近感を持ってもらえますよ。
薬液瓶の中や、コンプレッサーの吸気口など、重要な部分には貼らない様に注意。また、汚れやすくなるのでこまめにアルコール消毒をして清潔に保ちましょう。
終わったら〜しよう作戦
2歳〜3歳で物心がついてきたら、終わったら〜しよう作戦も有効です。
その子が大好きな食べ物やお菓子を用意しておいて、吸入が終わったら食べようね、という習慣を付けましょう。お散歩が好きなら、「終わったらお散歩行こうね」もありですよ。
この方法は、環境再生保全機構の喘息相談(電話)で教えて頂きました。
お菓子やごはんを食べてから(授乳してから)
終わったら作戦とは逆に、先にお菓子やごはんを食べてからの吸入もおすすめですよ。赤ちゃんの場合は授乳してからですね。
小さな子は胃袋が小さいのですぐお腹が減ってしまうんですよね。お腹が減った状態だとご機嫌斜めの事が多いですね。まずは空腹を満たしてご機嫌になってから、リラックスして吸入しましょう。
好きなおもちゃを使う
その時大好きなキャラクターのぬいぐるみや人形で遊びながら吸入すると上手く行く事がありますよ。季節感を取り入れてサンタさんとかおもちゃの雛人形とかもありですね。
また、ぬいぐるみに限らず、興味のあるおもちゃで遊びながらの吸入でもOKです。
ネブライザーにキャラクターを取り付ける
ネブライザーの薬液瓶にキャラクター人形を付ける方法も有効ですよ。
ふかふか一家では、100均にあるミッキー(写真はミニーマウス)のガーデンピックを使って自作しました!ミリコンcubeの薬液瓶に合う様にピックをペンチで折り曲げて、余った分はカットすれば完成。簡単です♪
ガチャガチャで出たアンパンマンのおもちゃは、ボール紙を使って取り付けました!下に突起が突き出る形状だったので、ボール紙に穴を開けてはめていますよ。
アンパンマンもミッキーも大好きなので、とても役に立ってます。自作おすすめ!
オムロンのキッズアクセサリーもオプションで単品販売されています。コンプレッサー式 NE-C28用なので、これをお使いの方は試してみましょう。
カレンダーや台紙にシールを貼る
上手に吸入が出来たら、カレンダーやノートにシールを貼る習慣を付けましょう。これが楽しみで吸入してくれる事もありますよ。おとめさんは、2週間くらい続けられました♪
カレンダーや台紙にスタンプを押す
100均などで売ってるスタンプを使うのも一手です。小さなノートやカード、メモ帳などを使って吸入が終わったらスタンプを押しましょう。スタンプは数種類あると楽しいですね。
もちろん、スタンプで遊びながら吸入してもOKですよ。
ごっこ遊びを取り入れる
2〜3歳位になると、ごっこ遊びを取り入れるのも有効です。吸入マスクを使って電話ごっこしたり、お話ごっこしたりして「楽しいおもちゃ」だと思ってもらえると、スムーズに吸入できますよ。
終わったら褒める
上手にできてもそうでなくても、一通り吸入が終わったら思いっきり褒めてあげましょう。特に嫌がる様な日は、愛情込めて褒めてあげる事で嬉しくなって、次回からもスムーズに吸入しやすくなりますよ。
寝てる間に吸入する
お昼寝中や就寝中に吸入するのもありですよ。熟睡中なら嫌がる事もないのでスムーズに吸入が出来ます。
気管支拡張薬の吸入は寝てる間でもOKな事が多いですね。
長期管理薬のパルミコートを使う場合は、起きている時に吸入しましょう。口内カンジダ症等副作用防止のため、終わったらうがい&顔をふく必要があるからです。例外として、朝のみ就寝中でもOKとかかりつけの小児科から指導されました。これは、朝なら吸入が終わったらすぐ起きて、水を飲んだり出来るからという事です。
何歳頃まで大変か
ふかふか一家のおとめさんは、2歳2ヶ月頃〜6歳直前まで吸入治療を続けていました。
最も大変だったのは2歳〜3歳頃。元々イヤイヤ期なので、何やっても嫌がって暴れまくるんですよね。ほんと大変。ここまでに紹介した対処法を駆使して吸入してました。
4歳頃になるとイヤイヤ期も終わって来て、スムーズに進む日が増えました。あふろさんが付きっ切りで、絵本を読み聞かせならがの吸入が多かったですね。
5歳を超えるとかなり落ち着いて、絵本を読み聞かせながら吸入してましたよ。たまにマウスピースを使った吸入方法も取り入れる事で気分が変わって落ち着く事も。5歳後半は、1人でネブライザーを持って吸入出来る日が少しありました。1人の吸入時は、ユーチューブのアニメを活用してました!
赤ちゃん〜4歳前頃までが最も大変だと思います。先が見えない状況ですが、目安にして下さいね。
吸入を嫌がる時の対処法2(学び編)
赤ちゃんや子供はまだ理解力が乏しいとはいえ、「何で吸入するのか?」を理解してもらう事はとても大切な事です。ぜひ、小さい子にもわかりやすい方法で説明してあげましょう。
吸入絵本を読み聞かせ
Baby Papa!では、あふろさんが吸入しつけ絵本を作ってくれました!何で吸入しなくてはいけないのか、絵と簡単な文章で分かりやすく表現されていますよ。下のリンクから飛べますので、ぜひご活用下さいね。
理由を言い聞かせる
日頃から、子供や赤ちゃんでも分かりやすい言い方で、何で吸入するのか言い聞かせましょう。「ゴホゴホって咳が出て苦しくなっちゃうんだよ〜」「モクモクすると元気になるんだよ〜」みたいな言い方が良いでしょう。
ママがお手本をみせる
ママさんが楽しそうに吸入している所を見てもらえば、自然と自分もやりたくなりますよね。まずは、ママさんがお手本を見せてみましょう。
ただし、薬液を実際にママさんが吸入したり、水を入れて吸入するのは厳禁です。噴霧なしでごっこ遊び感覚のお手本としましょう。
ぬいぐるみや人形を使って教える
ばい菌シールを自作したり、100均で探したりして用意しましょう。バイキンマンのシールなら子供も大喜び!
ばい菌シールを大好きなぬいぐるみやお人形の喉に貼り付けます。そして、喘息の真似を人形にさせますよ。「ゴホゴホッ」と咳が出たり、苦しそうにさせたり。
そして、ネブライザーの吸入マスクを当てて吸入ごっこをします。すると、あら不思議、ばい菌シールが剥がれてどっかへ飛んで行ってしまいました。「バイバイキーン!」等と言いながら剥がしてあげると良いでしょう。
吸入をしてばい菌がどっか行って、お人形は元気になりました!
この様な遊びを通して、「なぜ吸入が必要なのか」を理解させる事はとても有効なのだそうです。
詳しくは、下記の外部リンクから見る事が出来ます。
ネブライザーの騒音対策
スピーカーや子供用ヘッドホンを購入する
動画やアニメを見ている時、ネブライザーの音がうるさくて音が聞こえないと訴える事があります。それで吸入がストップしてしまうんですね。
そんな時は、スピーカーを子供の近くに置いてあげたり、子供用のヘッドホンを使ってみましょう。
コードの長さが1.3mとやや短めですが、この様な小さいPCスピーカーを近くに置いてあげると、聞こえやすくなりますよ。
小型のbluetoothスピーカーを使えば、スマホやタブレットからでも接続出来るし、コードの制約もないので便利です。
赤ちゃんにはあまりおすすめ出来ませんが、ヘッドホンを使うのもありです。子供用なので、音量制限があって耳を痛める心配がありませんね。
静かなタイプのネブライザーを選ぶ
根本的な解決として、静かなタイプのネブライザーに買い換えるという方法もあります。コストはかかりますが、予備機としてもう一台持っていた方が良い側面もあるので、ぜひ検討してみましょう。
オムロン コンプレッサー式ネブライザ NE-C803
オムロンのNE-C803はコンプレッサー式の中では最も静かな種類です。小型軽量のコンプレッサーでモーター音が抑えられています。薬液が霧化する時に生じる音が「シュー」って少し気になりますが、他の製品に比べればかなり静かですよ。コンプレッサー式なので、パルミコートの噴霧もOK。
オムロン メッシュ式ネブライザ NE-U150
オムロンのメッシュ式ネブライザーです。無音に近いネブライザーでとっても静か!
ふかふか一家では、主にインタール® + メプチン(気管支拡張薬)の使用で活躍してました。寝てる時に使っても、音で起きてしまう事がないですよ。長期管理薬のパルミコートは目詰まりしやすい方式です。目詰まりしたら、メッシュを交換すれば快適になりますよ。
オムロン メッシュ式ネブライザ NE-U200
オムロンから出ているもう一つのメッシュ式ネブライザー。使い捨てのメッシュを使用します。メッシュ式なので無音に近くてとっても静か。メッシュのコストはかかりますが、いつも新しいメッシュなのでパルミコートでも目詰まりせず快適に使えそうですね。
オムロン メッシュ式ネブライザ NE-U22
オムロンのNE-U22は旧モデルのメッシュ式ネブライザー。無音に近いネブライザーで、小児科の先生に勧められて購入しました。ふかふか一家では、夜中の咳や発作治療で大活躍してました!
パルミコートだと吸入時間が2倍に伸びるのが難点。またパルミコートは目詰まりやすいです。メッシュを2〜3ヶ月おきに交換すれば快適ですよ。現在は製造中止です。
まとめ
365日、毎日朝晩吸入していると、必ず嫌がる日が出て来ます。今回は、3年以上吸入を続けたふかふか一家のノウハウを余す所なく列挙しました。
環境再生保全機構の喘息相談に教わった情報や、実際にかかりつけの小児科から教わった方法、自分たちで考えた方法など様々ですよ。
ただ、何をやってもどうしても吸入が上手く行かない時は、医師に相談しましょう。また、吸入しても発作や咳が治らない時はすぐに受診、発作でチアノーゼが出ていたり意識が遠い時は即救急車を呼びましょう。早めの対処が悪化を防ぎます。
ぜひ、今回の記事を参考に吸入してみて下さいね!きちんと吸入する事は、治療の第一歩。とても地道な作業ですが、良くなることを信じてめげずに続けて行きましょうね。
[参考文献]おしえて 先生! 子どものぜん息ハンドブック(独立行政法人 環境再生保全機構)